2014年10月22日水曜日

【衛生】代謝・抱合反応など②

2015年2月28日までの日数:129日
第100回薬剤師国家試験まであと129日
国試よりも卒業試験が気がかり…。

化学物質の代謝・抱合反応など

■第二相反応:抱合反応

抱合反応はほっとんど解毒反応。
第Ⅰ相反応で共通の官能基をつけて、さらに抱合して極性を高めて排泄する。
関与するのは5種類の抱合反応。

■グルクロン酸抱合

酵素はミクロソーム画分に存在する!
UDP-α-グルクロン酸(UDP-GA)UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)によって水酸基、アミノ基、カルボキシ基などをもつ基質がβ-グルクロニドとなる反応。
α体の供与体がβ結合してβ体の抱合体を形成する。
β体なので、β-グルクロニダーゼで加水分解される。(腸内細菌が分解することで再吸収される。→腸肝循環)
新生児はグルクロン酸抱合能が成人の約1/100ととっても低い。

☆OHの抱合
エーテル結合を生成。
例)
フェノール
モルヒネ → モルヒネ-3-グルクロニド

☆COOHの抱合
エステル結合を生成。
例)
安息香酸

■硫酸抱合

酵素は可溶性画分に存在する!
活性硫酸(PAPS)のS原子が、水酸基、アミノ基などにより求核的に攻撃されて抱合体となる。活性硫酸は無機硫酸(H2SO4)と2ATPから生成される。

■アセチル抱合

酵素は肝可溶性画分に存在する!
主に芳香族アミンがアセチル化を受ける。
代表的な薬物はイソニアジド。イソニアジドのN-アセチル化は遺伝的多型が存在する。
基本的にアセチル化能は日本人>欧米人で、日本人ではアセチル化能が高い人の割合は約90%にも達する。わお!
アセチルトランスフェラーゼにはNAT1やNAT2があり、イソニアジドのアセチル化はNAT2が関わっている。

■アミノ酸抱合

酵素はミトコンドリア画分に存在する!
ヒトでは主にグリシン抱合で、たまにグルタミン抱合がおこる。
基質のカルボキシ基が活性化する。
安息香酸がベンゾイルCoAになって、グリシン抱合を受けると、馬尿酸となって尿中排泄される。
例)
トルエン→ベンジルアルコール→ベンズアルデヒド→安息香酸→ベンゾイルCoA→(グリシン抱合)→馬尿酸

■グルタチオン抱合

酵素は可溶性画分ミクロソーム画分(一部)に存在する!
基質の電子密度が低い部分にグルタチオンが結合するので、エポキシドハロゲン化合物ニトロ基をもつ化合物などが抱合を受けやすい。
抱合に関与する酵素はグルタチオン S-トランスフェラーゼ(GST)
尿中にはメルカプツール酸(N-アセチルシステイン抱合体)として排泄される。
胆汁中にはグルタチオン抱合体システイン抱合体として排泄。

■チオシアネート抱合

シアンの解毒はCN-をロダネーゼ(硫酸転移酵素)チオシアン酸イオン(SCN-)に変換することで行われる。

■腸内細菌による代謝

腸内では嫌気的な反応(還元反応と加水分解反応)が主に起こる。
関与する酵素は、β-グルクロニダーゼβ-グルコシダーゼ、アゾ還元酵素など。
β-グルクロニダーゼがグルクロン酸抱合外しちゃったりするから、腸管で再吸収されて腸肝循環が起こる。

■理論問題解いてみる①

第87回 問95
ヒトの異物代謝に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 異物代謝の性差は、ラットに比べて大きい。
  2. 新生児期のグルクロン酸抱合活性は、胎児期よりも低い。
  3. CYPの発現分子種は、同一個体でも臓器によって異なる。
  4. 一般に代謝を受けた化合物は元の化合物よりも極性が高い。

性差についてラットと比較されるのもなんだろうって感じだけど、ヒトでは代謝能の性差は少ないらしいです。なので☓。
新生児のグルクロン酸抱合能は低いってのは知ってるけど胎児期と比較されるのは…って思ったけど胎児期もかなり低くて、成長とともに上がっていくってことで、「ほぼ同じ」が正解らしい。
3,4はまんまあってますね。極性高めて排泄っと。

正答は 3、4 です。

■理論問題解いてみる②

第85回 問91
薬物代謝に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. シトクロムP450は、解毒だけでなく代謝的活性化にも関与する。
  2. 異物のグルタチオン抱合体は、ほとんどそのまま尿中に排泄される。
  3. グルクロン酸転移酵素は、主に肝臓の可溶性画分に存在する。
  4. N-アセチル転移酵素には、遺伝的多型がみられる。

1はまんまですね。
CYPによる代謝的活性化については、【衛生】代謝・代謝的活性化など①を参照
2のグルタチオン抱合体は、尿中では最終産物であるメルカプツール酸となって排泄されるので☓です。
3はクロクロでグルクロン酸転移酵素ミクロソーム画分でしたね。→クロクロについては【衛生】代謝・代謝的活性化など①を参照
4はイソニアジドのアセチル化に関わる酵素NAT2とか遺伝的多型がありました。日本人はrapid acetylatorが多い(約90%)んでした。

正答は 1、4 です。

■理論問題解いてみる③

第93回 問93
ヒトにおける化学物質の代謝に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)により生成するグルクロニドは、全てβ体である。
  2. 安息香酸は、タウリン抱合を受けて馬尿酸として排泄される。
  3. ベンゾ[α]ピレンの代謝的活性化には、シトクロムP450が関与する。
  4. 硫酸抱合体は、さらにメルカプツール酸へと代謝されて尿中に排泄される。

グルクロン酸抱合体は全てβ体です。腸内細菌のβ-グルクロニダーゼではずれちゃう。ちなみに補酵素のUDP-GAはα体だから背面から攻撃すると必然的にβ体になるのね。
安息香酸は、グリシン抱合でした。なので☓。
ベンゾ[α]ピレンの代謝的活性化には、シトクロムP450エポキシドヒドラーゼが関与。
メルカプツール酸になって尿中に排泄されるのはグルタチオン抱合です!

正答は 1、3 でした。


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